永久歯の一番奥に最後に生える歯で第3大臼歯(智歯)を「親知らず」といいます。
人間の退化現象により元々ない人もいますが、顎が小さくなった現代人にとって厄介なものになりつつあります。しかし親からもらった大切な一本の歯を「親知らずでいらない歯だから」と言って本当に抜いてしまっていいでしょうか?
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・ 横向きに生えて一つ手前の歯を押して、その歯が咬んだ時に痛い場合。
・ 口が開きにくく虫歯の治療が困難な場合。
・ 重度の歯周病になっている場合。
・ その他全身状態の影響で抜歯したほうがいいと判断した場合など。
・ まっすぐ生えていて十分咬みあわせできる場合。(小さい虫歯も含む)
・ 歯周病もなく、十分口が開けられて虫歯の治療ができる場合。
(神経の治療を含む)
・ 少し斜めに生えているが、
治療すれば方向が変えられて咬みあわせできる場合。
・ 一つ手前の歯が将来的に抜かなくてはならない状況にある場合。
又は移植可能性歯。
・ ブリッジや入れ歯を支える歯として使える場合。(将来も含めて)
その他色々考えられます。
当院では「絶対抜いてください。一生のお願いです。」と言われない限り出来るだけ痛みをとり、抜かないよう心がけています。しかし、どうしても痛みが取れなければ後日抜歯になることもあります。
「親知らずは痛いよ〜!」と抜歯経験のある人は、知ってか知らずかよく耳にしますが抜くときは当然麻酔をしますので、痛くありません。抜歯するのに時間がかかって次第に麻酔がきれてくれば、追加しますので大丈夫ですが、本当に痛いのは抜歯して家に帰って麻酔がきれた頃から痛み始めます。
通常痛みのピークは麻酔がきれてから当日の夜中までが多いようです。
親知らずの場所(上下)と植立状態(まっすぐか斜め)や体調または個人差によりますが、抜歯後2〜3日は痛みがあり、大体腫れると思ってください。たまに"こぶとりじいさん"のように腫れることもありますが、通常腫れのピークは抜いた次の日よりその次の日のほうが腫れる事が多いようです。
ただ大学病院へ紹介すべきと判断した(技術的に難易度の高い症例)抜歯では痛み、腫れ共にそれなりの覚悟をしていたほうが良いと思います。(骨を削除する症例が多いためです)
抜歯後にだんだん痛みが治まってきたのに、何日かして痛みが出ることもあります。
多くはドライソケットと呼ばれる歯槽痛です。つまり抜歯した跡は穴が開きますが、通常血餅とよばれる血の塊が穴を覆い次第に歯肉に置き換わってきますが、その血餅が何かの原因で取れるかまたは出来ないために起きるのです。口の中に直接骨が露出している状態なので、やはり痛みが続きます。ドライソケットの頻度は下の親知らずの場合で10人に1人の割合で起きるとも言われています。治療としては露出した部分をよく消毒し、コラーゲンシートに抗生剤軟膏を塗り、穴を塞いであげれば痛みは軽減します。消毒と抗生物質内服で次第に治まってきます。(治癒期間は約1〜2週間くらいです)
不幸にして抜歯になった場合に、場所によってはそう難しくない親知らずの抜歯がありますが、大体難易度が低い抜歯ほど術後の痛みや腫れが少ないと思います。
Level 1 |
歯周病でグラグラしている上下の親知らず |
Level 2 |
まっすぐ生えている上の親知らず(小さい虫歯程度) |
Level 3 |
少しだけ歯が見えている(半分埋まった)上の親知らず |
Level 4 |
まっすぐ生えている下の親知らず(小さい虫歯程度) |
Level 5 |
斜めに生えて半分歯が見えている下の親知らず |
まっすぐ生えている上下の親知らず(大きな穴又は残根状態) |
Level 6 |
完全に横に生えていて骨の中に入っている下の親知らず |
Level 7 |
上顎洞に根が入っている上の親知らず |
Level 8 |
下顎管に接していると思われる下の親知らず |
ほとんどの開業歯科医院で抜歯は可能ですが、症例によっては口腔外科に紹介する場合があります。
抜歯の時間が1〜2時間かかる場合がありますので、当院では手術日(木曜日午後)の抜歯になります。または症例によっては口腔外科に紹介する場合があります。
基本的には当院では行いません。大学病院の口腔外科などで精密な検査(CT)を受け術式や問題点などを十分説明してもらい抜歯するのがベストだと思います。
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